「原発稼働なら引当金を」町井登志夫

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 浜岡原発の停止は最悪の管政権で多分、唯一のクリーンヒットだっただろう。
 ここにわたしが今から書きたいのはそれだ。原発のリスクを計算しつつ、稼働させるとはどういうことか。それはいざというときの保険を用意しておくということに他ならない。
 これまでは『安全神話』というわけのわからないものによって原発の稼働は野放しにされてきた。しかしそれは『飛行機は墜落しない』と同レベルであり、『我が国の自動車は津波が来ようが対人事故は起こさないです。』という空手形を切っていたにひとしい。
 自動車や飛行機と違い原発の歴史は浅く、いざ事故が起きた時の補償額が想定できなかったために意味不明に安全を強調して、無保険で運転を続けていたという事だ。だが『福島』を経験したそして現在経験中の日本人にもはやそれは通用しない。
 原発を稼働させるならばこれからは、それが実際に起こるかどうかは別の話にしても、起こってしまったら一体誰が補償するのかという問題を避けては通れない。
 福島でわかるように電力会社は耐用年数の切れた発電所を抱え込んでいるだけで電力供給というキャッシュフローを別にすれば資産など『ない』『ゼロ』──ということは、『想定外』のことが起きてしまったら国民に即跳ね返ってくるしかないままにしておくのか。
 わたしの提案はだから原発を稼働させる、あるいは燃料がある以上『メルトダウン保険』をあらかじめ積んでおく事だ。車に自賠責保険があってはじめて車検が通るように。原発にも一機一機自分のメルトダウンに備えて保証金を積んでおくべきだ。
 いくらか。それは今回の福島が明らかにしてくれた。『最低十兆円』
 福島の事故補償経過を見る限りそれ以下という事はあり得ないし、浜岡であれば日本のど真ん中でり、その3倍4倍必要である。四十兆円と言えば完全に日本の国家収入と同額だ。メルトダウンはそれだけの経済的被害を発生させるという事が福島で判明してしまったのだ。
 日本にある原発は約60。一つにつき、最低10兆円プールするという事になると、600兆円を用意しておかなければならない。日本人の国民総資産とほぼ同額。というのも日本の原発が一斉にメルトダウンすれば日本の国家資産は全部飛ぶ。当然の数値である。
 確かに600は現実的にプールできない、不可能と言う事にせよ、国家税収1年分くらいは常にためておいてもしもに備えながら原発を動かすべきだ。
 それができないというなら、メルトダウンしない電力を日本は真剣に考えるべきだ。たとえ節電という重荷を背負っても国民資産全部はたくよりはましだ。



町井登志夫プロフィール


町井登志夫既刊
『歴女カオルの「良いお金」と「悪いお金」の経済学』