「物語のルミナリエ 異形コレクション」井上雅彦



「物語のルミナリエ」異形コレクション48巻
 光文社文庫
 2011年12月8日発売
 定価:940円(税込み)
 ISBN 978-4-334-76344-2

「物語のルミナリエ」(Amazon)


監修・井上雅彦氏コメント:

 今年(2011年)の第32回日本SF大賞は、上田早夕里氏の『華竜の宮』に決定した。横田順彌氏の『近代日本奇想小説史 明治篇』には特別賞が、小松左京氏には特別功労賞が贈られた。「特別功労賞」という賞の名称は、今回から採用された。
 ちなみに私の《異形コレクション》が「特別賞」を受賞した第19回(1998年度)には、同じ「特別賞」が、97年師走に亡くなった星新一氏に(これまでの功績に対して)贈られた。賞の意味合いはそれぞれ異なるだろうが、少なくとも、私をデビューさせてくれた星新一氏と同じ賞を貰ってしまったという事実が、私が《異形コレクション》を今日まで続ける強い動機になったことだけは確かである。
 当時は、まだ6巻しか作っていなかった《異形コレクション》だが、今回で、48巻目。97年師走に最初の一巻が書店に並んだのだから、14年目。初出作品から日本推理作家協会賞短篇部門受賞作も出したし、幾つかの映画化作品も輩出した。短篇の出版に北風の吹いていた刊行当時と比べれば、個人短編集も殖えてきたし、SFの傑作選のアンソロジー・ピースやオリジナル・アンソロジーの企画も通しやすくなったと聞く。上田早夕里氏の『華竜の宮』と同一世界観の先行作品「魚舟・獣舟」を出せたこともうれしかった。ホラー、ファンタジー、怪奇幻想、ミステリ、奇妙な味のオリジナル・アンソロジーを標榜して出発したが、真っ先に高い評価をしてくれたSF界にも、貢献できたように思う。
 長く続けていると、原点に戻りたくなり、ショートショートの巻を作ったのが2007年の『ひとにぎりの異形』。今回は、それと同じようにショートショートを集めた巻だが、「苦難の時代に作家ができることは、物語を贈ること」をコンセプトにした。いうまでもなく東日本大震災という衝撃的な天災に襲われたわれわれ――作家と読者――が、互いに「物語」を通して支え合う本にしたかった。
 今回、参加してくれた作家は78名。
 うち、日本SF作家クラブのメンバーは、以下の通り。(登場順、敬称略)
 平谷美樹、草上仁、梶尾真治、北原尚彦、太田忠司、眉村卓、浅暮三文、タタツシンイチ、堀晃、瀬名秀明、かんべむさし、岡崎弘明、八杉将司、木立嶺、田中啓文、井上剛、菊地秀行、北野勇作、牧野修、江坂遊、倉阪鬼一郎、藤田雅矢、井上雅彦、立原透耶、上田早夕里、芦辺拓、高井信、田中哲弥、片理誠、新井素子。
 またSF Prologue Waveではおなじみの間瀬純子氏も参加されている。
 
 なお、本作の刊行と同時に、メッセージを添えることのできる募金のサイトを立ち上げた。

 物語のルミナリエ 災害支援編
 物語のルミナリエ 動物救援編

 どちらも、支援の「言葉」を重視するもので、どなたでも参加できる。
 「災害支援編」は、震災直後から、SF作家クラブが呼びかけたのと同じ募金先。
 「動物救援編」は、被災動物とその飼い主を支えるもの。この募金先以外の支援団体の情報も載せていく。
 現在のところ、長いレンジで考えており、今後も状況に応じて、新しい募金先やチャレンジページを検討していく予定である。



井上雅彦プロフィール


井上雅彦既刊
『物語のルミナリエ
異形コレクション』