「みがかヌかがみ」中里友香



● みがかヌかがみ(単行本)
○ 中里友香
● 講談社/422ページ
○ 2015年11月10日刊行
● ISBN:978-4062197830
○ 1836円・税込(税別価格1700円)

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 大正時代、五月。
 月里見紗葵子(やまなし・さきこ)は茶道の名家を訪れる。家の名は天女目(なばため)姫の命で掘られた井戸を守り、姫の言い伝えとともに継承する一族――青天目家(なばため)家。
 昔、この地に井戸をもたらしたという、年端もゆかぬ天女目姫。聡明で峻烈な姫は、干ばつで苦しむ民衆に生贄を禁じ、かわりに井戸掘りを命じる。工事は難航し、民の怒りを受けて、姫は井戸の完成を条件に、人柱として命を絶たれる。

 死に堕ちた者が行き着く不来方(こずかた)で、雨夜城(あまよ・きずき)が目を覚ましていた。自らの記憶と引きかえに刀を入手した彼は、死なせてしまった美しき天女目姫の奪還と救済に身を賭して挑む。

 生者と亡者、二つの世界がいびつに交差する。
 巡り会い、別れ――比類なき因縁奇譚。

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【今日まで、そして明日、SF新時代へ】
 という企画がありました。2013年2月のことです。
 日本SF作家クラブ & 小説現代の創立・創刊50周年を祝し、世代の異なるSF出身作家が「継承」というテーマで競作。3代にわたるSF出身作家(神林長平氏、瀬名秀明氏、そして私)が、小説現代にそれぞれ中編を発表しました。

 今回の私の単行本は、このときの私の中編「みがかヌかがみ(第一章)」、これに第二章、第三章を書き下ろし、一冊の本として完結させ、発表するものです。

 昨年11月には書き上げて編集部に渡していました。
 各方面のスケジュールが噛み合わず、ようやく2015年秋、刊行に漕ぎつけました。
 刊行までに時間を要しましたが、そのぶん完成度の高い小説に仕上がりました。

 文芸色の強い表紙絵は、今回編集部からおススメされたイラストレーター・にしざかひろみさんの作品です。インクペンと水彩で描かれているはずですが、螺鈿(らでん)細工を絵にしたような、まるで銅版画のような趣。
 着物の柄を意識し、『みがかヌかがみ』の物語内に出てくる草花を、何層にもあしらってもらいました。現代日本画や屏風絵などを彷彿とさせる、美術品のような風合いです。

 表紙の女性は、物語内の特定の誰かではありません。英語でいうアノニマス、Jane Doeに近い。登場人物の要素をいくつか取り入れた、いわば誰でもないモナリザ的女性像です。

『みがかヌかがみ』お気付きかもしれませんが回文です。

○・●・○・発行部数が少ないので、お早めに。・○・●・○






中里友香プロフィール


中里友香既刊
『みがかヌかがみ』