『月刊アナログゲーム情報書籍「Role & Roll」Vol.160「『エクリプス・フェイズ』入門シナリオ スペース闇金道――情報難民をさいなむドラッグ」』

文:待兼音二郎(『エクリプス・フェイズ』翻訳チーム) 監修:岡和田晃(『エクリプス・フェイズ』翻訳チーム)、朱鷺田祐介(スザク・ゲームズ)


 岡和田晃

 「Role & Roll」(アークライト/新紀元社)は、会話型ロールプレイングゲーム(テーブルトークRPG、TRPG)や、ボードゲーム、カードゲーム等のアナログゲーム(電源を使わないゲーム)を扱う月刊総合情報書籍です(2003年創刊)。
 毎号、プロとして活躍中のゲームデザイナーやライターにより、様々なゲームの紹介やサポートがなされています。
 「SF Prologue Wave」でも、「Role&Roll」掲載の『エクリプス・フェイズ』関連記事を、継続的に紹介して参りました。
 
 「Role&Roll」にはこれまで、『エクリプス・フェイズ』のルールブックを購入したはいいが、どう遊べばよいかわからない方のために入門用のシナリオが掲載されてきました。
 いずれも3時間程度の比較的短い時間で遊べる親切設計となっています。Vol.143~154掲載のシナリオも、すでにSF Prologue Waveで紹介済みですので、ご確認ください。

 Vol.155に掲載された「輝く月の夢を追い」は、セレブ女優マリア・シャイニングムーンの死んだクローンを追いかけて、地球軌道を巡る船に乗ったプレイヤー・キャラクターたちが、海賊砦「フレッシュ・キルズ」へ向かうというシナリオです。お馴染み、未訳サプリメント『Sunward』からの抄訳もあり。
 Vol.156掲載の「スペース・アウトロー伝説――緋牡丹のお竜」は、なんと任侠映画『緋牡丹博徒』シリーズを下敷きにした作品です。このシナリオはナノタトゥーについて、楽しみながら習得できるようデザインされています。
 Vol.157掲載の「ライデン・ベスティアリの方舟」は、行方不明になって久しい大型コロニー宇宙船「ライデン・ベスティアリ」を調査するというシナリオです。ラストには重大な決断を迫られます。シナリオには舞台の地図も添えられています。
 Vol.158の「恩讐のパラレル・プロセッサー」は、マッド・サイエンティストを追って、月の第2の都市シャクルへ入ったセンティネルたちが、そこで合成義体による大規模な暴動に鉢合わせしてしまう。というシナリオです。シナリオには義体を再着装する場面があるので、『エクリプス・フェイズ』の醍醐味とも言える義体の交換を楽しみながら体感できる仕様となっています。
 Vol.159に掲載された入門シナリオ「歯車の音 あるいは多元宇宙の崩壊」は、未訳サプリメント『X-RISKS』に掲載された、もっとも大掛かりなシナリオソースを活用したシナリオです。端的に言えば、現代SFのメタテーマであるシミュレーション仮説をシナリオに落とし込んでいるのです。世界の終わりという黙示録的なシチュエーションで緊張感を演出しています。

 Vol.160に「スペース闇金道――情報難民をさいなむドラッグ」が掲載されています。

 火星圏で契約労働を強いられる情報難民にサイバードラッグが蔓延している。そこに浮かび上がる悪徳金融業者の影。「闇金ウマジマくん」と呼ばれる男の狙いには、情報体に法外な利息で金を貸して儲けるだけではない何かがありそうだ……。

 本作は『エクリプス・フェイズ』の初心者用シナリオですが、難民の出自ゆえに差別される情報体(インフォモーフ)にも金を貸す悪徳ヤミ金との関わりを通じ、『エクリプス・フェイズ』宇宙における経済制度とハッキングのルールを学べるようにデザインされています。細部がよく練られて、とっつきやすい作品です。SFに苦手意識があるプレイヤーを誘うにもピッタリの作品でしょう。
 イメージ・ソースは宮内悠介『スペース金融道』。また、ヤミ金については、漫画『ヤミ金ウシジマくん』が参考資料として使われています。



 また、2018年2月11日には、愛知県刈谷市で、サークル閑話堂の主催で『エクリプス・フェイズ』のオンリーコンベンションが開催されました。翻訳チームからは、岡和田晃がゲームマスター参加、待兼音二郎がプレイヤー参加。合計7卓が立つ、非常な盛り上がりを見せました。






















 「SF Prologue Wave」の小説を読んだら、ぜひ、実際に『エクリプス・フェイズ』世界に飛び込んでみましょう!
 あなたのクリエイティヴィティが、さらに刺激されること、間違いありません。



岡和田晃プロフィール