「朴葵姫(パクキュヒ)を聞く」関 竜司

(PDFバージョン:pakukyuhiwokiku_sekiryuuji
 柔らかな白いヴェールに包まれる 朴葵姫奏でる 金色の音

 2019年7月21日・島根県民会館で開かれた「朴葵姫・ギターリサイタル」に参加した。会場は朴の演奏を聞きに来た観客で満員だった。
 朴葵姫の演奏の特徴は、天使のトレモロとも称される正確無比な高度なテクニックとそれでいて正確さだけではない甘い情感をたたえたメロディーラインだ。今回、実際に朴の演奏を生で聴いてCDできく以上に、音と音とが柔らかいヴェールでおおわれているように感じ、驚きを禁じ得なかった。
 今回のコンサートで朴葵姫は、バッハの《シャコンヌ》やグラナドスの《詩的ワルツ集》といった元々は弦楽器や鍵盤楽器のために書かれた難曲に挑戦していた。特にバッハの《シャコンヌ》は、指使い(運指)が相当大変そうだったが、それを正確にかつ朴自身の解釈も加えながら弾きこなしているのは、さすがだと思った。グラナドスの《詩的ワルツ集》は、筆者は初めて聞いた曲だったが、朴葵姫自身、大好きな曲だと話していたように楽しく聞くことができた。
 朴の十八番とも言えるタレガの《アルハンブラの思い出》は、相変わらず素晴らしかったし、個人的にはアルベニスの《アストゥリアス》と《カタルーニャ奇想曲》の解釈が成熟したものを感じさせ、印象に残った。
 今年から朴葵姫はスペインとドイツに活動の拠点を移し、ドイツで博士号の取得を目指しながらヨーロッパでも活動の幅を広げていくという。すでに世界的な評価を得ているにもかかわらず現状に満足せず、更なる高みをめざす若きギタリストの今後に期待が集まる。(2019・7・21)

(リンク)
朴葵姫 – Recuerdos de la Alhambra (ON STAGE)
朴葵姫(パク・キュヒ)~ひびクラinterview
朴葵姫インタビュー~ぶらあぼ



関竜司プロフィール


関竜司 参加作品
『しずおかの文化新書9
しずおかSF 異次元への扉
~SF作品に見る魅惑の静岡県~』