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「『あるべきシンギュラリティ論』 さかき漣―山口優 対談(2)」山口優

(PDFバージョン:arubekisingularity02_yamagutiyuu
2017年3月某日 渋谷のカフェにて

【本対談の経緯と構成(再掲)】
 昨年10月、さかき漣著「エクサスケールの少女」が刊行された。「エクサスケールの少女」は、シンギュラリティをテーマとした小説である。シンギュラリティ(正確には、『テクノロジカル・シンギュラリティ』即ち『技術的特異点』)とは、人工知能技術やナノテクノロジー、遺伝子技術等の急速な発展により、将来の技術発展の速度と方向性が現在の人間には合理的に予測できなくなる将来のある時期を示す、技術史における概念である。この概念をテーマとした『エクサスケールの少女』は、最先端の科学技術を取り扱う一方、シンギュラリティにおいて重要となる問いである、『人間の本質とは何か』を原初の時代から問い直すために、神話をもそのテーマに含んでいた。
 一方、シンギュラリティと神話というテーマは、2010年11月に刊行された山口優の『シンギュラリティ・コンクェスト』にも共通するものである。同じテーマで本を書き、互いの興味や関心が共通することから、さかき漣と山口優は互いに連絡を取り合い、対談が実現した。
 対談は主に4つの部分から成る。(1)さかき漣から山口優への『シンギュラリティ・コンクェスト』に関するコメント、(2)山口優からさかき漣への『エクサスケールの少女』に関するコメント、(3)互いの小説の好きなシーン、そして、(4)あるべきシンギュラリティについて、である。
 (1)については、既にSF Prologue Wave 6月20日更新版にて掲載された。
 本稿では、(2)の部分について掲載する。

【対談(1)からの続き】

山口:私の方からの感想を言わせてもらおうかな。小説において、「シンギュラリティ」という現象をどう表現するかと言うことについて、私も悩んでいたんですけど、中盤あたりで、画像圧縮プログラムをすぐに作っちゃった、というのがあるじゃないですか。あれは面白いと思いました。
 プレシンギュラリティもので、シンギュラリティを描くときは難しいんですよね。人間にはできないことを表現しなければならないから。私の場合は、理論物理学者を出して、彼等がとても思いつかないことを天夢が思いつくという構成にしました。でも、まあその、それって、理論の人じゃないとよく分からない。画像圧縮だとみんな分かるからすごいなと。

さかき:これは、NTTメディアインテリジェンス研究所やGoogleで実際に行われた研究についてのニュースを参考にしました。このエピソードを作中に入れれば、シンギュラリティについて何も知らない人でも、漠然とそのイメージが掴めるんじゃないかと思って。ですから執筆のかなり初期の段階から、このシーンを入れようと決めていました。勿論ここで描いているのは「AIの知能爆発」というよりも「自律的に自己改良していくAI」のデモンストレーションのひとつに過ぎないのですが、それでも、どなたでも想像しやすいネタだと思って。画像圧縮技術なら多くの現代人に身近なことですから、どんな奇跡が起こったのか分かりやすいですよね。

サカキ レン


さかき漣(さかき れん)

 作家。立命館大学文学部哲学科哲学専攻卒業。社会小説の既刊に『コレキヨの恋文』(小学館/PHP文庫)、『希臘から来たソフィア』(自由社)、『顔のない独裁者』(PHP研究所)他。2015年、株式会社ドワンゴとスタジオカラーの共同企画「アニメ(ーター)見本市」にて『顔のない独裁者』が『イブセキヨルニ』として短編アニメ化。2016年11月、新刊SF『エクサスケールの少女』(徳間書店)発売。

公式サイト http://rensakaki.jp/
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「『あるべきシンギュラリティ論』 さかき漣―山口優 対談(1)」山口優

(PDFバージョン:arubekisingularity01_yamagutiyuu
2017年3月某日 渋谷のカフェにて

【本対談の経緯と構成】
 昨年10月、さかき漣著「エクサスケールの少女」が刊行された。「エクサスケールの少女」は、シンギュラリティをテーマとした小説である。シンギュラリティ(正確には、『テクノロジカル・シンギュラリティ』即ち『技術的特異点』)とは、人工知能技術やナノテクノロジー、遺伝子技術等の急速な発展により、将来の技術発展の速度と方向性が現在の人間には合理的に予測できなくなる将来のある時期を示す、技術史における概念である。この概念をテーマとした『エクサスケールの少女』は、最先端の科学技術を取り扱う一方、シンギュラリティにおいて重要となる問いである、『人間の本質とは何か』を原初の時代から問い直すために、神話をもそのテーマに含んでいた。
 一方、シンギュラリティと神話というテーマは、2010年11月に刊行された山口優の『シンギュラリティ・コンクェスト』にも共通するものである。同じテーマで本を書き、互いの興味や関心が共通することから、さかき漣と山口優は互いに連絡を取り合い、対談が実現した。
 対談は主に4つの部分から成る。(1)さかき漣から山口優への『シンギュラリティ・コンクェスト』に関するコメント、(2)山口優からさかき漣への『エクサスケールの少女』に関するコメント、(3)互いの小説の好きなシーン、そして、(4)あるべきシンギュラリティについて、である。
 本稿では、このうち、(1)の部分について掲載する。

【対談(1)】
山口:本日はお会いできて光栄です。どうぞよろしくお願いいたします。

さかき:よろしくお願いいたします。早速ですが、『シンギュラリティ・コンクェスト』、面白かったです。やはり、さすが理系だなあと。AIやシンギュラリティがからむ、研究者の方々が懸念している問題点が網羅されていて。理系的な観点からの解決策を提示するため、理論を構築する、というのが主軸になっている小説だと思います。その観点からは、私の『エクサスケールの少女』と対極にあるなあって。