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「架空インタビュー J・G・バラード」増田まもる

(PDFバージョン:kakuuinterview_masudamamoru


架空インタビュー J・G・バラード
聞き手:増田まもる

――この作品は、あなたのこれまでの全作品を統合したうえに、新たな局面が展開されている画期的な作品だと思います。とりわけ、これまで内意識の奥底へ沈潜していくという、精神病理学的なイマジネーションが、現実を超えていく壮大なイマジネーションの飛翔に転嫁したところに、この作品の重要性があると思います。「終着の浜辺」で内宇宙の終末をみいだし、「ウェーク島へ飛ぶわが夢」のなかで終末を抱きつつ失われた夢に執着していたあなたが、いかにしてこの転換をなしとげたのか、おおいに興味あるところですが。

バラード そこにはいくつかの要素があるのだが、なかでも夢の全能性への信頼を回復したことが最も重要なことだろう。「終着の浜辺」で内宇宙の窮極に存在するものが現実にほかならぬことを発見したわたしは、それ以後、この現実と呼ばれるものの姿をさまざまに描きつつ、その虚構性をあばくことに努めてきた。それは同時に内意識の虚構性をあばく作業でもあり、その虚構をつきぬけたむこうに、超虚構的な、一切の心のメカニズムから解放された夢の自由を獲得したわけだ。

「SFと音楽と映像・門倉純一インタビュー」聞き手:宮野由梨香 ゲスト:狩野あざみ、増田まもる

(PDFバージョン:interview_kadokurajyunniti
 門倉純一さまと言えば、「SFと音楽と映像」の第一人者。日本初のSF映画ファンの同人誌「モノリス」(SF映画ともの会)に関係し、「SF音コン」を主催し、また、NHKの「ラジオSFコーナー」のメインパーソナリティもつとめられた方です。
 そのご邸宅には、すごい設備のホームシアターと、SFコレクションがあるという噂です! その門倉純一さま宅を、増田まもるさま(翻訳家・日本SF作家クラブ事務局長)がご訪問なさるという話を、私・宮野由梨香が聞きつけました。「いいなぁ、いいなぁ」とうらやましがったところ、なんと「よかったらご一緒に」とおっしゃっていただけました。わ~い♪ 更にずうずうしく、「せっかくなので、お話を記事としてまとめさせて下さい」とお願いしたところ、快諾していただきました。ありがとうございます!


門倉純一さま(手にされているのは、ハレー彗星のぬいぐるみです)

「『現代作家ガイド6 カート・ヴォネガット』(彩流社)YOUCHAN氏・巽孝之氏・増田まもる氏インタビュー」聞き手宮野由梨香・岡和田晃

(PDFバージョン:interview_genndaisakkagaido6


現代作家ガイド6 カート・ヴォネガット

 YOUCHAN氏と言えば、SF Prologue Waveを彩る画像でもおなじみのイラストレーターである。熱心なヴォネガット・ファンである彼女は、SF批評家の巽孝之氏の監修のもとにヴォネガットのガイドブックを編集し、2012年9月に刊行した。(名義はペンネーム「YOUCHAN」と本名の「伊藤優子」とが併記の形になっている。)
 イラストレーターが、どんな思いを込めてヴォネガットのガイドブックを編集したのか? 監修者の巽孝之氏、ヴォネガットの伝記のレビューを担当した翻訳家の増田まもる氏も交えて、お話を伺った。
                           (宮野由梨香・岡和田晃)

「からっぽな宗教」増田まもる

(PDFバージョン:karapponashuukyou_masudamamoru
 神社が好きで、旅行先などで神社をみかけると必ず立ち寄るようにしている。由緒正しい大きな神社はもちろん、名も知れぬ小さな神社でも、お参りをするとなんとなくすがすがしい気持ちになる。
 だれもが知っているように、神社には寺院の仏像のような具象的な礼拝の対象はない。鳥居や狛犬やご神木、そして社殿と拝殿があるだけだ。それなのに、お賽銭をあげて拝礼して、ぱんぱんと音高く柏手を打って家内安全などを祈ると、なぜかしらすっきりとした気分になる。
 かつてはその理由を神社の成り立ちに求めて、神社の由緒や神々の系譜などを調べたり、背後の山や奥之院まで登って古代の人々がその地を聖地とした理由をつきとめようとしたりしてきた。古い神社の背後の山にはしばしば古墳や磐座(いわくら)があって、日本人の信仰の原点を見る思いがしたものだった。
 しかし、最近ではそれらの個別の情報にはあまり興味がなくなった。むしろ、鳥居と樹木と注連縄(しめなわ)に囲まれた、このなにもない文字通りからっぽな空間が、なぜこれほどまでにわれわれの心をひきつけるのだろうかと考えるようになった。

「日本SF作家クラブ発祥の地:山珍居インタビュー」宮野由梨香・増田まもる、YOUCHAN(イラスト・写真)

(PDFバージョン:interview_sanntinnkyo

[※結局、写真は後日、YOUCHAN 夫に撮り直してもらいました。( Photo by 伊藤のりゆき )]
 
 新宿の台湾料理店「山珍居」といえば、日本SF作家クラブ発祥の地として名高い。1963(昭和38)年3月5日に、ここで日本SF作家クラブの「発足準備会」が行われた。その様子は『星新一 1001話をつくった人』(最相葉月・新潮社・2007年)でも紹介されている。
 新しいものを創り出そうとする第一世代SF作家たちの熱気を支えたのは、この場所の美味しい料理と酒と、ご主人の人柄と、そこに集う人々の醸し出す雰囲気だった。

マスダ マモル

増田まもる(ますだ まもる)
1949年宮城県生れ。早稲田大学第一文学部文芸科中退。主な訳書――マコーマック『パラダイス・モーテル』『隠し部屋を査察して』、バラード『夢幻会社』『楽園への疾走』、マーティン『フィーヴァー・ドリーム上下』(以上、東京創元社)、バンクス『フィアサム・エンジン』、テッパー『女の国の門』(以上、早川書房)、コールダー『デッド・ガールズ』『デッド・シングズ』(トレヴィル)、カミンズ『もしも月がなかったら』『もしも月が2つあったなら』(東京書籍)ほか多数。