タグ: 大和田始

「さらばでござる」大和田始

(PDFバージョン:sarabadegozaru_oowadahajime
 山野浩一さんがたちまちにしてなくなった。終活をきっちり済ませて逝ってしまった。私の人生でただひとり師匠というべき人だった。ただしこの弟子は出来が悪かったけれど。

 20才代の10年近く、山野さんの掌の上で転がされ、翻訳家に仕立てられて、何冊かの訳書を出してもらうことができた。ただし私はその後SFを離れたので、恩に報いることがあまりに少なかったのが心残りだ。

 山野さんはあらゆることを議論し解明しようとした。数学のような解の出るものから、一般には解などないと思われているようなことまで。山野さんのSFにならぶ業績である競馬の評論でも、血統によって馬の優劣を解明しようと、克明なノートを取っていた。

オオワダ ハジメ

 大和田始(おおわだ・はじめ)1949年宮崎県出身、慶應義塾大学法学部政治学科卒。高校に入ってから現代SFを知り、当時のアメリカSFを読み漁る。高校3年でアメリカSFを見限り、英国SFを英語で読み始める。大学時代はNW-SF社に入り浸り、山野浩一社主の斡旋で「SFマガジン」にロバート・シルヴァーバーグ「太陽踊り」を翻訳。季刊「NW-SF」誌に評論「遊侠山野浩一外伝」を発表。訳書に『SF百科図鑑』(共訳)、J・G・バラード『コンクリートの島』(共訳)、M・ジョン・ハリスン『パステル都市』、ブライアン・オールディス『世界Aの報告書』など。