タグ: 山野浩一氏追悼

「さらばでござる」大和田始

(PDFバージョン:sarabadegozaru_oowadahajime
 山野浩一さんがたちまちにしてなくなった。終活をきっちり済ませて逝ってしまった。私の人生でただひとり師匠というべき人だった。ただしこの弟子は出来が悪かったけれど。

 20才代の10年近く、山野さんの掌の上で転がされ、翻訳家に仕立てられて、何冊かの訳書を出してもらうことができた。ただし私はその後SFを離れたので、恩に報いることがあまりに少なかったのが心残りだ。

 山野さんはあらゆることを議論し解明しようとした。数学のような解の出るものから、一般には解などないと思われているようなことまで。山野さんのSFにならぶ業績である競馬の評論でも、血統によって馬の優劣を解明しようと、克明なノートを取っていた。

「山野さん、ありがとうございました」片理誠

(PDFバージョン:yamanosannarigatougozaimasita_hennrimakoto
 癌で闘病されていた山野浩一会員が、2017年7月20日にご逝去されました。
 私は山野さんとは一度だけ、2010年に行われたSF大会「TOKON10」の「SF新人賞&左京賞受賞作家『21世紀SF』を考える」という企画の時に、ご一緒させていただきました。
 超然とされた穏やかな雰囲気をまとったかたで、マイクを持たれた時もとても落ち着いて話されていたのですが、時折、眼差しが射るように鋭く光ったのが今でも印象に残っております。

 その後、私自身がお目にかかる機会はなかったのですが、普段から山野さんと親しく交流されていて、当サイトにもいつも多大なご協力をくださっている岡和田晃会員が、単行本や文庫本にまだ収録されていない山野さんの作品を、ご本人の許諾を得た上で、当サイトにお寄せくださいまして、「山野浩一未収録小説集」として発表させていただける運びとなりました。
 その最初となったのが「死滅世代」という短編。これは長らくファンの方々の間では、その存在が噂されるのみの“幻の作品”だったのだそうで、その分、反響も大きく、山野さんも喜んでおられたとのことです。
 そして第二回となる「自殺の翌日」がサイトに掲載された、まさにその日に、山野さんは旅立たれてしまいました。