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カワマタ チアキ

川又千秋(かわまた ちあき)
1948年小樽市生まれ。1971年P・K・ディック「小さな町」(SFM)で翻訳デビュー、1972年「明日はどっちだ!」(SFM)で評論デビュー、1976年「夢のカメラ」(奇想天外)で小説デビュー。『火星人先史』で星雲賞、『幻詩狩り』で日本SF大賞受賞。主著に『夢の言葉・言葉の夢』『反在士の鏡』『翼に日の丸』など。

【小松左京氏追悼エッセイ】「小松左京氏を偲んで」川又千秋

(PDFバージョン:komatusakyousiwosinonnde_kawamatatiaki
 一九六九年、九州で開催されたSF大会(Qコン)でのこと。当時学生だった私は、一の日会の連中と一緒に、一足早く会場の日田温泉に乗り込んでいた。ところが、大会前夜、台風か何か影響で、ゲスト作家の多くが途中足止め。そんな荒天をモノともせず、一人、タクシーを飛ばして駆けつけてきたのが、小松左京氏だった。
『復活の日』『日本アパッチ族』……さらに『果しなき流れの果に』など、巨編、話題作を連発していた小松さん。そんな氏が演壇に登り、講演をはじめた。
「……実は今、ある出版社で、非常に大きな構想の作品を準備中である。そのアイデアというのは……」と切り出して、その頃、最新の学説であったプレートテクトニクスを解説し、「これを基に、数万年かかる地殻変動を加速してやることで、日本列島を太平洋に沈め、結果、祖国を失った日本人が、どのように民族的文化的同一性を保っていけるかを探る思考実験を目指す……」といった内容を熱っぽく訴えたものである。
 言うまでもなく、ここから生まれたのが『日本地没』であり、我々は、図らずも、その孵化段階に立ち会う幸運を得たのだ。