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「幻想郷民譚 ジンライブ1」片理誠

(PDFバージョン:jinlive1_hennrimakoto
 ハイライの奴が「洞窟に寄っていこう」などと言うものだから、“詫びしらの森”に到着したのは昼をだいぶ過ぎてしまってからになった。まったく、エルフ族の考えることはよく分からない。これからこの暗い森の奥まで進んで、日のある内に帰ってこなくては、こちらの身が危ういというのに。
 自然と俺の足は速くなる。ハイライめは後ろから、まるでハイキングでも楽しんでいるかのようなリラックスした様子でついてくる。まったく、事態がよく分かっていないんじゃないか? いくらエルフが優れた狩人だからって、夜の森で「あいつ」に出くわしたくはないだろうに。
 樫や楓、楢、椚。鬱蒼とした木々に囲まれた小道は昼なお暗い。湿っていて、夏だというのに風すらもひんやりとしていた。