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【小松左京氏追悼エッセイ】「向こうのホームに」機本伸司

(PDFバージョン:mukounoho-muni_kimotosinnji
 昼下がりの東京駅で、“のぞみ”に乗り込んだとする。指定券を確かめながら、独り、座席に腰を下ろす。あとはもう、何も考える必要はないだろう。寝ていても、目的地である新大阪に到着するのだから。そう思ってシートを倒しかけた、その時――。
 もし向かい側のホームに、知人の姿を見かけたとすれば、あなたならどうするだろうか? そしてそれが、小松左京先生だったとすれば……。
 発車時刻は、間近に迫っている。今降りて先生のところまで行けば、ご挨拶するだけでも、手元の座席指定券は無効になってしまうだろうし、その後の予定も狂ってしまうかもしれない。じっと座ってさえいれば目的地に到着する列車に乗っていながら、それを降りるというのは、馬鹿げたことだと言うしかない。既定の路線を捨ててまで、わざわざリスクを選ぶことはないだろう。しかし向こうにいらっしゃるのは、あの小松左京先生だ。さて、どうするか……。
 実はそんな経験が、僕にはあったのだ。確か五、六年前のことだったと思う。

キモト シンジ

機本伸司(きもと しんじ)
1956年、兵庫県宝塚市生まれ。
2002年、『神様のパズル』で第三回小松左京賞を受賞。
他の著作に『神様のパラドックス』『パズルの軌跡 穂瑞沙羅華の課外活動』などがある。

小松左京さんを偲んで(寄せ書き)

(PDFバージョン:komatusakyousannwosinonnde
 本サイト「SF Prologue Wave」は、この度の小松左京さんの訃報に接し、SFにも、また日本SF作家クラブにも、多大なご貢献のあった氏に敬意を表し、ここに小松左京氏の追悼企画として、天国の小松さんへ会員有志による『寄せ書き』を捧げます。
 ただし、ここにあるものが全てではありません。『追悼エッセイ』としてご寄稿いただいた方もおられます。また、氏の訃報は我々会員にとって衝撃であり、「ショックで、今はまだ何も書けません」と申される方が多数おられたことも、ここに付け加えさせて頂きます。
 小松左京さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。(「SF Prologue Wave」編集部一同)