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「サーボモータと意識」山口優(画・河田ゆうこ)

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 私たちがやらねばならぬことは、私たち自身から出てこなくてはならないのだ。
 ――ジュリアン・ジェインズ著/柴田裕之訳『神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡』


 本稿では、前回のコラム「サブリミナルへの福音」に続き、人間の意識をテーマにしてみたいと思います。特に今回は、その起源について考えてみます。
 まず、「意識」とは何か、簡単に定義してみます。
 ここで言う意識は、眠っている、起きていると言う時の「意識がある」「ない」ではなく、今自分が何を考えているか、何をしているか、と言う時の、自分の思考や動作を自分で認識する機能を指します。「私は今考え事をしている」「私は今パソコンに向かってキーボードをタイプしている」と言う時の「私」と、その「私」が注意を向けている対象を自覚する働き、と言い換えてもいいかもしれません。
 意識は人間の神経系を基盤とします。人間の神経系のアナロジーとして、ロボットの制御系の話から始めましょう。
 サーボモータ、という機械をご存知でしょうか?

「わが名は『ガッツ』」東野 司(画・河田ゆうこ)

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 春だった。
 リビングの大きな窓を開けると、小さな横長の庭。すぐ手前のバラの根元に体をこすりつけている一匹のネコがびっくりして、こちらを振り仰いだ。
 一瞬、アメリカンショートヘアに見えた。くりっとした瞳が見上げるその表情は、まるでシュレックに出てきた長靴をはいたネコのようで、思わず見とれていた。
 それが、ガッツとの出会いだった。
 まだ、彼は子猫で、当時は地域猫だと思っていた。いわゆるノラなのに、アメショーのような(実際には、シルバーの縞柄に白)肌合いで、ふんわりと丸い顔はキュートで思わずおいでと手を出したものだった。

「小説家は【肉体業】だ!」早見慎司(旧名:早見裕司)(画・河田ゆうこ)


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「このままだと、遠くない将来、寝たきりになるよ」
 友人に言われたのが十数年前。そして五十を少し過ぎたいま、その予言はみごとに的中しました。そんな私の半生記、と言ったらあまりにオーバーですが、「健康」について書いて欲しい、というお話もあったので、何がどうしてどうなったのか、ご参考になれば、と思って記します。
 もともと幼い頃から体を動かすのがおっくうで、部屋代わりの押し入れに蛍光灯を持ち込んで、本を読みふけっているガキでした。両親が忙しく、放っておいてくれたのをいいことに、外へもろくに出ないで読書三昧。それはそれで、小説家という職業に就くのにはいい土壌になった、とは思います。しかし、いまの私の健康状態から見れば、どうしてもっと外で遊ばなかったのか、としみじみ思います。

「東京小規模ライブハウス事情  ~ジャズ以外のアコースティック系音楽を中心に~」石原敏行(画・河田ゆうこ)


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東京小規模ライブハウス事情

~ジャズ以外のアコースティック系音楽を中心に~


(イラスト)河田ゆうこ



(マイナーと世間には思われているジャンルにおいては、50人集まれば、大成功や事件だったりします。私がファンをやっているプログレという音楽ジャンルも、その1つです。集客力は、全員と顔見知りになれる人数、といえば、イメージが掴めるでしょうか……)

 2013年のゴールデンウィーク初日の4月27日土曜日は、日本各地でプログレ(注1)イベント目白押しでした。一般の人には全く関係がないことですが、一部のプログレマニアにとってはとんでもない狂騒の日々の真っ最中。

 川崎では、日本のプログレを代表するバンドのひとつであるKBBも、この日ワンマンライブがありました。私はこのKBBのライブを見に行きました。

「新年パーティ」高橋桐矢(画・河田ゆうこ)


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 真っ白な雪がしんしんとふりつづく冬の夜、土の中の奥深くにカブトムシの幼虫がいました。外は凍り付くほどの寒さですが、土の中はあたたかです。
 幼虫は、トンネルをほりながら、ふんわり甘い枯葉をさくさく食べていました。たくさん食べて大きくなって、夏になったら、黒くて強くてかっこいいカブトムシになるのです。
 ふと、幼虫はもぐもぐ動かしていた口を閉じて、顔を上げました。
「なんだろう。誰かの声が聞こえる」
 声の方向にほりすすめていくと、いきなり土の壁がぽこっと開きました。一瞬、まぶしくて目がくらみます。
「幼虫くん! いらっしゃい」
 声をかけてくれたのは、まるまると太ったカエルのおじさんでした。カエルが、幼虫を手まねきします。
「さあさあ、待っていたよ。もうすぐ新年パーティがはじまるからね」

「オオカミの誇り」高橋桐矢(画・河田ゆうこ)


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 オオカミは、カラスから気になるウワサを聞きました。
 古里の谷間の森に住む、オオカミの父親が、ひどくやせていたというのです。
 なにかあったのでしょうか。そういえば、父親も母親ももうずいぶん会っていません。両方ともかなりの年のはずです。
 そう思ったらいてもたってもいられなくなりました。
「様子を見に行ってみるか」

「キノコさま」高橋桐矢(画・河田ゆうこ)


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 何日も続いていた秋の雨が、久しぶりにやみました。
 薄暗くしめった森の道を歩いていた小さなイタチは、ぎょっとして立ち止まりました。
 道の横、くさった木の根元で何かが光っています。
 それは、ぼうっと光を放つ奇妙なキノコでした。
 雨がふっている間に生えたのでしょう。見たことのない種類です。おそるおそる匂いをかいでみました。残念ながら、おいしそうな匂いではありませんでした。
 イタチは、上から横から、じっくりとキノコをながめました。うすいひらひらとしたかさに、ほんのりとした銀色の光。見れば見るほど、不思議なキノコです。

「春の旅心」平谷美樹(画・河田ゆうこ)

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 春になると、旅に出かけたくなる。
 桜が咲く直前。枯れ色だった山々に、人々が気づくか気づかぬかの淡い萌え色が差す頃。
 里の雪が溶けて、オオイヌノフグリの小さい水色の花が畦道に散りばめられ、フキノトウはもう天ぷらにしても苦いほどに伸びてしまった頃。
 ぼくは無性に旅に出たくなる。
 旅に出たくなる――。という言葉はちょっと違う。
 胸が痛くなるような渇望。
 飢えや乾きにも少し似ている。
 そのようなものが勃然として日常生活の中に現れ、ぼくを困惑させるのだ。

「ものの捨てどき、別れどき」福田和代(画・河田ゆうこ)

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 長年、大事に使っている物があるとする。さすがに飽きがきて、そろそろ別の新しい物を使ってみたい――と浮気心を起こしたとたんに、今までまったく不具合が起きなかった物が故障したり、使えない状態になったりする。そんな経験はないだろうか。
 私にはある。はっきり言って、たくさんある。