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【小松左京氏追悼エッセイ】「とりとめもない思い出」石川喬司

(PDFバージョン:toritomemonaiomoide_isikawatakasi
 今は亡き<怪獣博士>大伴昌司が言い出した<死券>ごっこという遊びがあります。<馬券>ごっこじゃありません。「SFの仲間のうち誰が一番最初に死ぬか?」 それを当てっこしよう、というブラックな遊びです。
 全員の一致した<本命>は、しょっちゅう飛行機で海外取材を続けている<デブで大食漢の小松さん>でした。万事に鷹揚な小松さんはまったく気にせず「バカヤロウ」と笑っていました。ところが最初に死んだのは、この遊びの発案者・大伴昌司でした。彼は新橋の中華料理店で行われた日本推理作家協会恒例の新年会の<犯人当てゲーム>の最中に持病の喘息発作に襲われ服薬して別室で安静中に急死したのです。その結果、彼の命日にはSFの仲間が鎌倉への墓参を兼ねて熱海へ一泊旅行に出かけることになり、皮肉なことにその命日が誕生日に当たっていた小松さんは「おかげで誕生パーティが開けない」とコボシながら旅館での徹夜麻雀を楽しんでいました。