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【小松左京氏追悼エッセイ】「小松左京の不思議」豊田有恒

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 小松左京というSF作家が、なくなったことは、単にSF界の損失にとどまらない。日本文化にとっての損失でもある。
 ぼくが、小松さんに出会ったのは、第一回、第二回の日本SFコンテストを通じてである。ちなみに、ぼくと平井和正さんが、最年少で、いわゆる第一期SF作家は、いち早く江戸川乱歩さんに認められてデビューしていた星新一さんを除いて、みな、このコンテストを通じて世に出たのである。小松さんは大阪、こっちは東京、いつも会うわけにはいかなかった。新幹線などない時代、年に一度か二度、貧乏学生が懐をはたいて、夜行列車で梅田駅にたどり着いて、筒井康隆さんが経営していたヌルスタジオへ転がりこむ。そこで、小松さん、眉村さん、堀晃さんなど、大阪の同志に出会えたのだが、そう年中いけるわけがない。そこで、小松さんとは、文通を始めた。今でいえば、メル友といった関係である。
 おたがい、まだ収入が多くはない。一枚の葉書に、表面まで、あれこれ書きつらねて送る。小松さんも、あのころは、まだしも暇があったのだろう。すぐ返事が来る。SFのこと、文化、天文、地理のことなど、こっちが知ったかぶりで書いたことに、反論されたりする。博覧強記というか、多芸多才というか、いつもギャフンと言わされてばかりいた。

トヨタ アリツネ

豊田有恒(とよた ありつね)
 1938年5月25日生まれ。慶応義塾大学医学部中退、武蔵大学経済学部卒。第一回SFコンテスト、第二回SFコンテストに入賞。「鉄腕アトム」「エイトマン」など、創世記のSFアニメ脚本家として活躍。宇宙戦艦ヤマトSF設定を担当。著書「モンゴルの残光」「退魔戦記」「ダイノサウルス作戦」など多数。他に古代史関係、原子力関係など、ノンフィクション多数。趣味 ピアノ、バイク、韓国語、スキーなど。