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タカシマ ユウヤ


高島雄哉(タカシマ ユウヤ)
1977年、山口県宇部市生まれ。
2014年「ランドスケープと夏の定理」で第五回創元SF短編賞受賞(門田充宏「風牙」と同時受賞)。
第1回日経「星新一賞」入選作である「わたしを数える」と第四回創元SF短編賞の最終候補作「幽霊のいる部屋とヘンリカの魔たち」は、<自然科学とオカルト>というテーマを共有している。
現在は「ランドスケープと夏の定理」の続編を執筆中。
趣味は映画鑑賞。

①第五回創元SF短編賞受賞記念エッセイ 高島雄哉「H+H」
 http://www.webmysteries.jp/sf/takashima1410.html

②「ランドスケープと夏の定理」のKindle版
 http://www.amazon.co.jp/dp/B00MGSNNTY

「わたしを数える」高島雄哉


(PDFバージョン:watasiwokazoeru_takasimayuuya
 まどろみながら今日もわたしは井戸の底で皿を数えている。
 計算機が形成するこの架空のお化け屋敷を訪れる人間は少なく、まして屋敷の最奥のわたしの井戸までやってくるのは余程の趣味人か暇人、あるいは迷子だけだ。
 人間は思考補助機によって仮想現実に意識を移し、手軽に現実以上の体験ができるようになった。計算機は仮想の遊戯プログラムを増やし続けている。人間はそれらで遊ぶのに忙しく、わたしが暮らすお化け屋敷はすっかり閑散としているのだった。
 だが人間が来ても来なくても、わたしはただ皿を数え続ける。数えることがわたしのすべてであるかのように。
「あの、お姉さん」
 縁台に男の子が立っていた。わたしはいつものように眠たくて今まで気付かなかった。